訃報

名誉会員・井家上隆幸氏

 名誉会員の井家上隆幸氏が一月十五日肺炎のため亡くなられた。八十四歳。井家上氏は一九三四年岡山県生まれ。岡山大学文学部卒業後、三一書房に入社し編集者として活躍。七二年に退社後、「日刊ゲンダイ」創刊時に編集局次長を務めた。七四年にフリーとなり、さまざまな雑誌で書評コラムを執筆。八三年に日本冒険作家クラブの設立発起人の一人となり、設立後は事務局長を務めた。
 雑誌連載された書評コラムを纏めた「量書狂読1988~1991」(九二年)で第十回日本冒険小説協会最優秀評論大賞を受賞した。他の著作には「またも量書狂読1992~1994」「一年で600冊の本を読む法」などがある。
 近現代史の裏面に深い関心を持ち、冒険小説・国際謀略小説、あるいはノンフィクションを通して、二十世紀の戦争や謀略の歴史を再構築した「20世紀を冒険小説で読む」を「ミステリマガジン」誌に八年にわたり連載した。そのライフワークといえる連載を纏めた「20世紀冒険小説読本【日本篇】」「同【海外篇】」で二〇〇一年に第五十四回日本推理作家協会賞評論その他の部門を受賞した。近著には「三一新書の時代」がある。
 香典を呈し協会よりの弔意を表した。